MENU

MENU

ブログ blog

その他

茨城県での重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生について

今年5月、関東で初となるSFTSの猫での感染が報告されました。

 

【症例】

室内飼育の1歳齢の雌猫。

ダニの予防薬は投与されていた。

4月下旬、一時的に脱走。耳に多数のダニが付着していたため、動物病院を受診し、ダニを除去。

5月9日:40.9度の発熱、食欲低下、嘔吐を示した。

10日:黄疸を示した。

12日:自宅にて斃死。(隔離用ケージにて看病)

獣医師が12日に県に報告。県が血液成分などを検査したところ15日にSFTS陽性が判明した。

 

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?

【概要】

マダニ媒介性の人獣共通感染症

ヒトと猫はSFTSに対する感受性が高く、感染すると重症化する傾向がある。

死亡率はヒトで約10~30%、猫で約60%(発症から7日以内)と報告されています。

日本での発生は、2017年以降、猫のSFTS発症例が西日本に集中して発生している。

感染猫の血液や、体液、排泄物にウイルスが排出されるため、ヒトへの感染リスクとなる。

 

【感染経路】

ヒト:主にマダニ刺咬。感染動物(主に猫)との接触。

猫:マダニ刺咬。

 

【症状】

ヒト:発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)が主徴。時に、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う。高齢な人ほど重症化しやすい。

猫:感染初期に発熱、活動性低下、食欲低下が認められ、約半数で嘔吐を伴う。皮膚や可視粘膜の黄疸を認めることが多い。末期には神経症状(てんかん様発作、意識混濁)や出血傾向が認められることがある。

 

【治療】

ヒトでは抗ウイルス薬が認可されているが、動物に投与できる有効な治療薬はなく、対症療法・支持療法が中心となる。

 

最近では2025年5月、SFTS感染猫の治療にあたっていた三重県の獣医師(高齢)が感染し、死亡する事例が発生しました。

 

今回の茨城県での発生は、西日本への旅行歴がない点でとても衝撃的な事例です。

今後は関東地方でも野生動物(特にノラ猫)を中心に感染が拡大する可能性があります。

 

マダニを予防する薬の塗布だけではマダニの刺咬は防げません(吸血後にマダニは死亡しますが)。とにかく外出させないことが最大の予防となります。愛猫やご家族を守るため、室内飼育をお願いします。

※外出することで寿命が短くなるとの報告があります。

感染症や交通事故のほか、パトロール自体が猫にとって非常にストレスになるためと考えられています。パトロールは犬が散歩を楽しむのとは異なり、自分の縄張りに危険がないか確認するための行動です。

 

犬も飼われている場合は、散歩後にマダニの付着を確認しましょう。

 

衰弱したノラ猫にはむやみに触れず、やむを得ず保護をする場合は、厚手の手袋(犬歯が貫通しないような革手袋が望ましい)・マスク・ゴーグル等を装着し、肌の露出を最小限にして、体液の付着や攻撃による受傷を防いでください。厚手のバスタオルやブランケット等でくるんで捕獲し、キャリーやケージに移動させましょう。猫に触れたものは廃棄しましょう。ご自宅に猫がいる場合、感染猫の徹底した隔離が必要となります。