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慢性腎臓病と飲水量の不足について

慢性腎臓病とは何らかの原因で腎臓の機能が3か月以上にわたり低下している状態を指します。

慢性腎臓病は加齢とともに増えていき、10歳以上の猫の30~40%の猫が発症すると言われています。

 

初期症状は多飲多尿(おしっこがたくさん出て、お水をたくさん飲むこと)ですが、この症状が現れる頃には腎臓の機能が残り1/3以下になってしまっています。

一般の血液検査で腎臓の数値(クレアチニン)が上がってくる頃には腎臓の機能は残り1/4以下になってからとされています。最近ではSDMAという項目も血液検査で調べることが可能になり、腎臓の障害が40%以上に進むと上昇するとされています。

症状だけでは早期発見が難しい病気なので、健康診断などで定期的にチェックすることをおすすめします。

 

猫ちゃんはもともと砂漠由来の動物ですので、水分を体に保つ能力に長けています。腎臓で老廃物と一緒にろ過された水分は、腎臓の中で効率的に『再吸収』することができるため、人と比べて非常に濃いおしっこを作ることが可能です。

加齢などに伴い腎臓の障害が進むと『再吸収』の機能から低下するため、体に水分を留めておくことができなくなり、おしっこの量が増えることになります。その後、『ろ過』機能が低下してくることで血液検査上の異常(数値の上昇)が出てきます。

 

人の慢性腎臓病ではおしっこの量が減ってしまい、むくみなどの症状が出てきます。一方、猫ちゃんはおしっこの量が増えてしまいます。『おしっこがたくさん出る=元気』ではありませんので注意が必要です。

 

ひとたびおしっこの量が増えてしまうと、それを補うために水をたくさん飲まなくてはいけません。しかし、猫ちゃんはたくさん水を飲むことは得意ではありません。次第に水を飲む量が間に合わなくなってくると、猫ちゃんの体は『脱水』を起こしてしまいます。脱水を起こすと更なる腎臓の障害を起こしますので、悪循環に陥ってしまいます。

また、腎臓が健康であれば脱水時には濃いおしっこが少量出ることが通常ですが、慢性腎臓病に陥ると脱水時にも薄いおしっこが出てしまい、脱水を助長します。

そのため、脱水を起こさないよう十分なお水を飲める(摂れる)工夫が必要になってきます。(過去のブログ参照)

それでも水分が足りないと判断されたときには、点滴などの治療が必要になってきます。

治療については『猫の病気紹介』を参照してください。